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後藤明生の夢 朝鮮引揚者(エグザイル)の〈方法〉
¥3,300
東條慎生『後藤明生の夢 朝鮮引揚者(エグザイル)の〈方法〉』(幻戯書房) 当店で今年4月よりフェアを開催している後藤明生に関する研究書が出ました。イベントでご一緒した東條さんは、後藤明生に関してまさに生き字引と言いますか、ぽんぽんと知識が出てくるような方でした。後藤明生『この人を見よ』を出版している幻戯書房からこの本が出る、というのも嬉しいですね。 以下、版元より 1945年、敗戦とともに崩壊した「大日本帝国」の植民地主義。38度線以北の故郷を喪失した少年は、「異邦人=在日日本人」として祖国へ帰還し、のちに「戦後文学の鬼才」として特異な作品を書き続けることになるー。 読み/書くことの「自由」を体現し、日本/文学と生涯にわたり格闘し続けた小説家・後藤明生。彼は、一体どのような問題に囚われていたのか? 現代の日本語小説に最大の理論的影響を与えた作家の「方法」の由来と全体像を、ポストコロニアルの文脈から読み解く、後藤明生に関する初の長篇評論。 目次 序章 私という喜劇——後藤明生の「小説」 第一部 『挾み撃ち』の夢——〈初期〉 第一章 「異邦人」の帰還——初期短篇1 第二章 ガリバーの「格闘」——初期短篇2 第三章 「引揚者」の戦後——『挾み撃ち』の夢1 第四章 「夢」の話法——『挾み撃ち』の夢2 第二部 失われた朝鮮の父——〈中期〉 第五章 故郷喪失者 たちの再会——『思い川』その他と「厄介な問題」について 第六章 引揚者の傷痕——引揚げ三部作1『夢かたり』 第七章 それぞれの家/郷 ——引揚げ三部作2および『使者連作』 第八章 「わたし」から「小説」へ——一九七九年・朝倉連作と『吉野大夫』 第三部 混血=分裂の近代日本——〈後期〉 第九章 分裂する日本近代と「転向」——『壁の中』 第十章 メタテクストの方法——八〇年代1 第十一章 戦・死・墓——後藤明生の〝戦争文学〟——八〇年代2 第十二章 日本(文学)を分裂させる——九〇年代 終章 自由と呪縛——引揚者という方法
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仮面の陰に あるいは女の力
¥2,970
SOLD OUT
ルイザ・メイ・オルコット、大串尚代訳『仮面の陰に あるいは女の力』(幻戯書房) 内容もさることながら、訳者の解題も素晴らしいです。『若草物語』に登場する、オルコットの分身と言っても良いであろうジョーは、この『仮面の陰に』が分類される「扇情小説」を書いていた時期があった。お金のためとはいえのめり込む様子からきっぱりやめる様子まで描かれる。これに触れて、扇情小説を書いていた理由が、果たして金銭のためだけだったのだろうか、という問いを立て、作家像に迫ります。 以下、出版社より あの『若草物語』の作者オルコットが扇情小説を書いていた?! なぜオルコットは、A. M. バーナードという男性作家名義で、 かくも扇情的な小説作品群をいくつも発表していたのか? 英国の名家でガヴァネスが惹き起こす、19世紀米国大衆〈スリラー〉小説。
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この人を見よ
¥4,180
後藤明生『この人を見よ』(幻戯書房) 以下、出版社より 徹底した批評意識と小説の概念をも破砕するユーモアが生み出す、比類なき幻想空間。戦後日本文学の鬼才が、20世紀を総括する代表作『壁の中』を乗り越えるべく未完長篇、初の書籍化。