【増補新装版】障害者殺しの思想
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横田弘『【増補新装版】障害者殺しの思想』(現代書館)
1970年代の障害者運動を牽引し、健全者社会に対して「否定されるいのち」から鮮烈な批判を繰り広げた日本脳性マヒ者協会青い芝の会の行動綱領を起草、思想的支柱であった故・横田弘氏の原点的書の復刊。
当事者としての覚醒を呼びかけた青い芝の会の「行動綱領」は、脳性マヒ者のみならず多くの障害者、学生運動・労働運動の担い手たちに強烈な印象を与え、浸透した。そのラディカルで端正な言葉は、詩人でありかつ仏教徒である横田氏でなければ書けなかったものと思われる。
1970年に起きた母親による障害児殺し事件とその母親に対する減刑嘆願運動への神奈川青い芝の会の告発は、日本の障害権利運動の萌芽として、障害者運動のルポや研究書で言及されている。その多くが横塚晃一氏の『母よ!殺すな』(2007年、生活書院より復刊)に依拠したものだが、本書の復刊により、思想・理論の横田氏と、組織力・行動力の横塚氏の二人の視点から青い芝の運動を再読することが可能となった。
本書では、障害者殺し事件の他、72年優生保護法改悪反対闘争、太田典礼の「安楽死」思想の批判、障害者の歴史、青い芝の会「行動綱領」と青い芝の「過激」な闘争(川崎バス闘争、神奈川リハセンターの胎児チェック反対闘争、養護学校義務化阻止闘争)等が網羅され、青い芝の会が最も先鋭的に運動していた時代の貴重な記録である。と同時に、横田氏が問い続けた優生思想、医学モデル、パターナリズムが今なお根強く残っていることから、今こそ著者の思想の源流を辿るべきと思う。(猫)
大好評重版出来!
【目次】
第一章 障害者殺しの事実
一 障害者は何故殺されねばならないのか
二 障害者殺しの経過
三 マスコミの「犯罪性」
四 障害者を殺そうとするもの
五 周りが寄ってたかって殺した
第二章 障害者殺しの思想
一 殺されたほうが幸せか
二 本来あってはならない存在か
三 障害者殺しの思想
四 減刑を許すな
五 CP者の生命を守るために正当な裁判を
六 福祉従事者との話し合い
第三章「優生保護法」とは何か
一 「優生保護法」とは何か
二 遺伝相談センターについて
三 優生保護法改正阻止闘争の記録
四 障害者は健全者から切り捨てられる
第四章 障害者はどのように生きたか
一 障害者の歴史
二 障害者はどのように生きたか
三 岩手の空を想う
四 流しびな
第五章 われらかく行動する
一 われらが生きるために
二 「福祉の街づくり」について
三 「リハビリ」という名の隔離
四 七沢リハビリテーションセンター交渉の記録
五 車イスがバスに乗れなくなった日
六 養護学校義務化阻止闘争
七 2・9神奈川県知事交渉記録
第六章 カナダのCP者たち
一 車イス、カナダヘ
二 サイモン・フレーザー大学での対話
三 ここでも障害者差別が
四 どこの世界でも抹殺される障害者
五 カナダの脳性マヒ者ノーマン・クンツ氏との対話
〔増補新装版〕編集部注
あとがき
復刊にあたって 解説/立岩真也
資料 横田弘年譜
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