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リバー・ワールド
¥1,980
川合大祐『リバー・ワールド』(書肆侃侃房)
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架空線/澤直哉
¥2,200
講義とエッセイからなる一冊。本という具体的な存在を原理的に考え、そこから必然的に立ち上がる文章、という印象です。私は雪の中を傘もささずぶつぶつ呟きながら歩いているシーンが好きです。 以下、版元より 今、これほど澄みきった声で本を、詩を、語ることのできる人がいるだろうか。 若きロシア文学者による渾身の散文集。 本も詩も、降って生るのを寝て待つのでなく、立ち上がり、足で強く地を蹴って、空を切るように手を伸ばし、架空を束の間摑んで作られる。だから人の心をかくも狂わせ、慄わせ、高鳴らせる。──本書「跋」より 装丁 港の人装本室 ■内容 「本をめぐる こころの ことばの 形にふれる」 文芸科の学生たちへ向けた講義をもとにした文章。戸田ツトムらブックデザイナーや文学者たちの言葉を引用しながら「人のこころのあり方」「ことばとは何か」に遡って、私たちの生と死の姿としての書物を考える。 「発生へ」 ある少年と交わした会話をきっかけに、心に湧き上がる数々の思い出や詩人たちの横顔をつづる。詩のことばの響きを基調低音に、生命の内奥へと歩みを進める書きおろしエッセイ。 および無題の詩1篇 ■著者 澤直哉(さわ・なおや) 1987年、ドイツ連邦共和国ハノーファー生れ。北海道に育つ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学、修士(ロシア文学)。早稲田大学非常勤講師。 単著に『花を釘となす人 菊地信義に』(via wwalnuts、2015)、共著に『言語と美術 平出隆と美術家たち』展図録(発行:DIC川村記念美術館、販売:港の人、2018)、編著・設計に《平出隆最終講義゠展[Air Language program]》図録(多摩美術大学、2020)。 論攷に「線の倫理のために 河出文庫における戸田ツトム」(『ユリイカ』1月臨時増刊号〈総特集 戸田ツトム 1951–2020〉、2020)、「「盗まれた大気」への亡命 ナターリヤ・ゴルバネフスカヤの「長いお別れ」」(『総合社会科学研究』第4集4号、2022)、「〈等しさ〉の詩学 O・マンデリシターム「アレクサンドル・ゲルツォヴィチというひとが…」の反転・回転・転移」(同前、第4集5号、2023)他。
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砕氷船『詩IA』
¥1,650
歌人・榊原紘、俳人・斉藤志歩、川柳人・暮田真名による短詩集団「砕氷船」、初の本。それぞれの作品、鑑賞、エッセイ、座談会を収録した54ページ。座談会はそれぞれの詩形の特徴や現在置かれている状況、各人の関心などさまざまなトピックが読めてたいへんお得です。デザインは小出和明、装画はしまむらひかり。
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ふりょの星
¥1,870
以下、版元より 川柳のビッグバン! 川柳アンソロジー『はじめまして現代川柳』(書肆侃侃房)でも最年少柳人として紹介された、Z世代のトップランナーによるネオ川柳。 言葉を限りなく自由に操り、読んだ者を骨抜きにする、魅惑の250句。 意味深な無意味な言葉の羅列。読み終わる頃には、言葉を食べてお寿司を読みたくなるに違いない。 ──Dr.ハインリッヒ(芸人) 川柳を作るとき、私はさながら迷子センターのようです。 私のもとにやってきた言葉とすこしの時間だけお話して、送りだしてあげる。 誰もむかえにきていなくても。──「あとがき」より 〈収録句より〉 良い寿司は関節がよく曲がるんだ いけにえにフリルがあって恥ずかしい 県道のかたちになった犬がくる 観覧車を建てては崩すあたたかさ 銀色の曜日感覚かっこいい 寵愛を受けて現像液のなか ティーカッププードルにして救世主 賛意って子持ちししゃものことなのか たてまつる永遠のつきゆび 未来はきっと火がついたプリクラ コングラチュレーション 寝ない子 コングラチュレーション
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宇宙人のためのせんりゅう入門
¥1,980
以下、版元より Z世代の川柳人・暮田真名による初の〈現代川柳〉入門書。 ある日道で拾った宇宙人に「せんりゅう」と名付け、ふたりの奇妙な共同生活がはじまった——。現代川柳とは? どんな作品がある? どうやって発表する? 俳句とはどう違う? 川柳を作るとなにが起こる? 宇宙人との対話形式で、シュールなのになぜか胸が熱くなる、前代未聞の川柳入門。 「わたしは暮田真名。きみは今日から『せんりゅう』だ」 「せんりゅう?」 「そう、きみの名前はせんりゅうだよ」 (プロローグより)
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起きられない朝のための短歌入門
¥1,870
以下、版元より 対談に耳を傾けながら短歌の作り方/読み方がよくわかる ストレンジャー(よそ者)のための短歌入門書
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多宇加世詩集『町合わせ』増補版
¥2,500
2022年に私家版詩集として発表されていた詩集の増補版です。「百匹たちとダンスしたり相撲をとったり歌ったりする出版所」百匹ブックスの記念すべき一冊めでもあります。いやはや、また凝った造本を……。 以下、版元より 多宇 加世 第二詩集 山形県酒田市出身の詩人・多宇加世(たう・かよ)の第二詩集『町合わせ』(2022年、私家版)をリニューアルし、増補版として刊行します。 第一詩集『さびていしょうるの喃語』を経て、『町合わせ』では酒田の郷土史や血縁といった自身の内側に照射された世界を舞台に「私」をめぐる詩的冒険が繰り広げられます。第二部は東京都板橋区の劇場「サブテレニアン」でパフォーマー・濱田明李が上演した共働作品で構成。増補版ではさらに9編を追加収録しました。 多宇加世(たう・かよ)山形県酒田市出身。既刊に『頬杖のヒュー風』(惑星と口笛ブックス)、『山越え』(しろねこ社)、『夜にてマフラーを持っていく月が』(絵・岸波龍 双子のライオン堂出版部)など。
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〈再入荷〉とある日 詩と歩むためのアンソロジー
¥1,650
『とある日 詩と歩むためのアンソロジー』 楽しみにしていた一冊が入荷しました。「いままさに歩きはじめようとしている若い書き手たち」による詩と「相互評」がセットになったアンソロジー。相互評は「決して答えでは」ないものの、他者の読書の歩みをたどる手掛かりになることでしょう。詩の愉しみをひろげてくれる作品です。 表紙に使われている川内倫子さんの写真には、林の中の一本道と、先を行きこちらを振り返る小さな子どもが写されています。「道筋を示す」「道案内をする」などの言葉を思い浮かべるとき、私などは道のことを、一本の線のように想像してしまうのですが、当然のことながら道には幅があります。その中心を歩くのか、端の方を歩くのかは人やその時々の状況によるでしょう。草木の間を通ることだって、その気になればできるでしょうね。でも多分、私が写真を撮っている視点に立ったとしたら、この小さな子どもにつられて、微笑みながら、道のうえを行くでしょう。思わず歩いてしまう、くらいの道の示し方をしてくれているように思えてなりません。 以下、版元より 詩は、意味不明文ではありません──。 詩と歩んでいきたいすべての人へ向けたアンソロジー。 【目次】 はじめに 代表作と相互評、著者による応答/補助線 新作 著者紹介とアンケート あとがき(編集部対談) 著者 青木風香、赤司琴梨、雨澤佑太郎、荒木大、今宿未悠、大島静流、川上雨季、京谷怜南、國松絵梨、小島日和、笹本栞乃子、高田丈、高橋幸寛、_川碧斗、吉永太地 装幀 佐野裕哉 写真 川内倫子 責任編集 川上雨季 編集 長_よし野 発行所 とある日編集部 発行日 2023年3月31日 四六判 240ページ
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いきしにのまつきょうかいで/小野寺里穂
¥1,700
以下、版元より 小野寺里穂の待望の第一句集! 日々の営みに潜む祝福と崩壊を軽やかに謳いあげる183句を収録 装釘:山本ジャスティン伊等 装画:vent de moe 小林萌 発行:Dr. Holiday Laboratory 収録句: ねえメロディ、弾けたからだを三つ編みに 再演しといて、いま、ここ、滅亡 どなたにもちかくされない少女性 リズムに乗る乗れる乗っ取、られてみる んはじめて痛むとこそこもわたししか ほっぺたの肌理さわがしい今日のばくはつ 小野寺 里穂(おのでら・りほ) 1994年岩手県奥州市生まれ。Dr. Holiday Laboratoryと大道寺超実験倶楽部のメンバー。劇場で働く。川柳を書く。
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水歌通信/くどうれいん+東直子
¥2,200
以下、版元より 垂直のガラスを蛸があるいてる雨つよくふる都市のどこかに(東直子) 柳の葉は撫でることしかできなくて小川の街でだれを愛すの(くどうれいん) 結婚を打診されるも、かつての恋人の存在が心にひっかかり、素直に喜べないみつき。 同じ街を浮遊しながら思考する謎の存在・ミメイ。 ひとつの街にふたつの意識が浮かび上がり、淡く交信しながら進む物語。 【著者コメント】 東さんと日常を交信するようにはじめた短歌のやり取りは、次第にわたしの人生を離陸してまったく別の「みつき」の人生になりました。書き終えたいま、雨が降ると、わたしのところへもミメイが来ているような気配がします。(くどうれいん) くどうさんと言葉を空に放って心を分け合っていたら、遠くにいるのにすぐそばにいるような、近づくことのできないところを浮遊しているような、とけあうような心地になりました。えもいわれぬ体験でしたが、その世界の人たちと時々目が合ってドキドキしました。(東直子) 目次 1 雨つよくふる都市のどこかに 2 なんでもつがい 3 どこにも戻るつもりはないな 4 Choice is yours 5 必ず君のいる夏の
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巣 徳島SFアンソロジー
¥1,980
巣 徳島SFアンソロジー 〈創刊号もあわせてどうぞ!〉 https://hoorubooks.thebase.in/items/65370601 以下、版元より 徳島で暮らす女性たちの文芸誌「巣」の第2弾は全作SF!(そっとふみはずす)、全作徳島が舞台。ゲスト作家は徳島ゆかりの芥川賞作家の吉村萬壱と小山田浩子。参加作家:田中槐、竹内紘子、なかむらあゆみ、田丸まひる、久保訓子、髙田友季子、前川朋子 装画:津田周平 編者:なかむらあゆみ
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巣
¥1,100
なかむらあゆみ編「巣」 第四回阿波しらさぎ文学賞の受賞金で制作された、「今、徳島で暮らしている女性たち」が書き手となっている文芸誌。 寄稿者の対談の中で写真家の前川朋子さんが、「なるべく「徳島を」撮るのではなく「徳島で」撮るということを心がけています」と語っているが、この雑誌を象徴する言葉のように思う。阿波弁や地名、徳島の風景が描かれるものの、それを写すことを目的とするのではなく、それを血肉にして作品をつくっているという印象を受ける。徳島や文芸に興味のある方だけでなく、広い読者に届いてほしいと思う。
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菊は雪
¥2,750
菊は雪
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胎動短歌4
¥2,200
胎動短歌4 以下、版元より 今回の「胎動短歌Collective vol.4」でも歌人のみならず、詩人、俳人、ミュージシャン、ラッパー、アイドル、ライター、書店員、ラジオパーソナリティー、画家、植物園の中の人まで全36組が参加、ジャンルを超えた「誌面上の短歌フェス」として各参加者から短歌連作8首を寄稿。 【参加者(寄稿者)一覧】 伊波真人 岡野大嗣 荻原裕幸 尾崎世界観 カニエ・ナハ 金田冬一/おばけ 上篠翔 狐火 木下龍也 小坂井大輔 GOMESS 向坂くじら 鈴木晴香 高橋久美子 竹田ドッグイヤー tanaka azusa 千種創一 千葉聡 寺嶋由芙 toron* 野口あや子 初谷むい 東直子 ひつじのあゆみ 平川綾真智 広瀬大志 文月悠光 フラワーしげる 堀田季何 穂村弘 枡野浩一 宮内元子 宮崎智之 村田活彦 和合亮一 ikoma (50音順/敬称略) 【価格】2,000円+税 【表紙・デザイン】竹田信弥 (双子のライオン堂) 【編集】ikoma / 胎動LABEL
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起こさないでください
¥1,980
言葉になりそうもない思いを、短歌やエッセイに落とし込んだ 中西森奈『起こさないでください』 以下、出版社より 作家・仲西森奈、初の短歌集。 誰もが身に覚えのある愛。 どこに向けるわけにもいかない苛立ち。 万事どうにもならぬ、 ましてや言葉にできそうにもない、 あらゆる事柄を短歌にしたためる。 短歌以外にも、 短篇小説やエッセイが挟まれています。 単語の索引が付いていたり、 寝落ちしてもパタンと開いたままになる製本、? 短歌に馴染みのない方にもたのしんでいただける 魅力の詰まった一冊です。 ?? ? 著者 仲西森奈 印刷 修美社 編集 稲垣佳乃子 装丁 古本実加 発行 さりげなく 2019年11月16日 初版第一刷1000部発行 2020年2月29日 第二刷1500部発行 価格 1800円(税別)
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『夜にてマフラーを持っていく月が』(詩・多宇加世/絵・岸波龍)
¥2,970
『夜にてマフラーを持っていく月が』(詩・多宇加世/絵・岸波龍) 以下、版元より 詩人・多宇加世さんの詩から、絵本が生まれました。 絵を担当したのは作家で書店主でもある岸波龍さんです。 ー言葉に誘われて行き着く先はいったいどこなのか。大人にも子供にも必要な絵本です。ー
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現代短歌パスポート2 恐竜の不在号
¥1,100
現代短歌パスポート2 恐竜の不在号 以下、版元より 【収録作品】 岡野大嗣「foil」 大森静佳「オーガンジー」 寺井奈緒美「わんたんたんか」 我妻俊樹「海岸蛍光灯」 伊舎堂仁「も可」 安田茜「森なんてない」 谷川由里子「残暑」 北山あさひ「板子一枚下は地獄、今度会えたら笑ってよ」 小島なお「群か星」 川野芽生「恐竜の不在」
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4/青松輝
¥1,870
4 青松輝 以下、版元より 短歌ユニット「第三滑走路」のメンバーとして、「ベテランち」「雷獣」名義でのYouTuberとしてなど、多彩な活動を行う、歌人・青松輝。第一歌集となる本書では、2018年の活動初期から現在までの秀歌394首を収録。
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場末にて
¥1,540
場末にて この詩集はきっと、誰かにとって、ひと休みさせてくれるような、木洩れ日がきらめく木陰のような、そんな一冊になるのではないかと思いながら制作を進めてまいりました。 こうして形にすることができ、嬉しい気持ちでいっぱいです。 装画は前回の詩集『ふたりはひとり』につづき小川万莉子さんの描き下ろし作品です。場末にてひかる小さな明るみを表現してくださいました。 この詩集には、「場末」に生きる人たちやそんな人たちがつくる場所がたくさん登場いたします。 ほの暗いなかでしか見えないくらい、けれど確かに存在する、ちいさなやすらぎの灯のような一冊です。 ぜひお手にとってご覧ください。 駅 彼は うすい背中のひとなので 職場から 誰よりもはやく 家に帰るみたいだ いつも歩きなので 駅に着くころには 埃っぽい風のなかである ちょっとうつむきかげんの ふうわりとした顔つきで 行きと帰りでは 気持ちに ほとんど変化がないみたいだ 夕暮れの あわい光のなかを 彼は歩いている うすい背中のひとは 駅近くの和菓子屋に 立ちよっている 病弱の妻に 若鮎を買って帰るらしい がま口を開けて 一枚いちまい 小銭をかぞえている
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私は日本狼アレルギーかもしれないがもう分からない
¥1,980
田中有芽子『私は日本狼アレルギーかもしれないがもう分からない』 この歌集には、普通の人にはまず思いつかないような奇想が充ちている。 怖いからスルーしたい。でも、できない。怖いくせに、いや、怖いからこそ、立ち止まって正体を知りたくなる。その奥にとても大切なものが隠されているように感じるのだ。——穂村弘 奇想に充ちた短歌で「日経歌壇(穂村弘 選)」に100首以上掲載、年間の秀歌にも多数選出のスター歌人として知られる田中有芽子。2019年に刊行し話題を呼んだオンデマンド歌集に、新作「りからん」を加えた新装版。穂村弘による解説も収録。 〈収録短歌より〉 ガラス越し新生児らの歳を足すみんな合わせて56日 ぎっしりとセミの抜け殻詰め込んだ軽いトランク持って野を行く 奇数本入りのパックが並んでる鳥手羽先の奇数奇数奇数 「共用スペースでは必ず犬を抱くこと」買いに行かなきゃ、犬を。 あのアゲハ小さい頃から何回もおんなじやつに会ってるのかも 100年に一言喋る力持つテディ・ベアそっと抱けば「暑イ」と すれ違い多き夫よ何回も帰ってくるが行くのを見ない 海と陸出会うはずない命たち一皿に盛ってシーフードサラダ 君たちは名誉レッサーパンダだよ雨の日の午後通知が届く お母さんはあんたよりもっと殺してる巣に水を入れたりもした
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巻上公一詩集 濃厚な虹を跨ぐ
¥2,970
巻上公一『濃厚な虹を跨ぐ』 以下、版元より 大岡信賞を受賞した第一詩集『至高の妄想』から3年、前人未到の道をゆく音楽家・巻上公一の詩72篇を収録。 ひとたび本を開けば心身が解き放たれる、愉快と危機に満ちた、ことばの玉手箱。 詩というものは心に羽を授けてくれる。 その飛翔は思想を越えてどこまでも上昇する楽しさがある。 (著者あとがきより)
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そだつのをやめる
¥2,750
青柳菜摘『そだつのをやめる』(thoasa) 以下、版元より ------ 青柳菜摘による二冊目の詩集。37篇所収。初版300部。 コ本やの出版部門であるthoasaより発行。 ? 雨は山になりつつあった 雷が息を殺す アプリが三十分後にぼくは眠ると言った だけどもうすこし粘ってささやく雷を聴く 声がセミからして 雨がやんだ跡が山になって 大航海をすませたセミが 精一杯鳴く声がする 「鳴くことは喋ることじゃない」 だから尺度を探してぼくを見てほしい 雷が鳴いた ? 造本設計、装幀 柳川智之 編集 和田信太郎 発行 thoasa 19.5×21cm|118p|2022年|ドイツ装(無線綴じ)|日本語 --------------------------------------- 青柳菜摘(あおやぎ なつみ) 1990年東京都生まれ。ある虫や身近な人、植物、景観に至るまであらゆるものの成長過程を観察する上で、記録メディアや固有の媒体に捉われずにいかに表現することが可能か。リサーチやフィールドワークを重ねながら、作者である自身の見ているものがそのまま表れているように経験させる手段と、観客がその不可能性に気づくことを主題として取り組んでいる。 2016年東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了。近年の活動に「亡船記」(十和田市現代美術館, 2022)、「家で待つ君のための暦物語」(東京藝術大学大学美術館, 2021)、オンラインプロジェクト「往復朗読」(2020-継続中)、第10回 恵比寿映像祭(東京都写真美術館, 2018)など。また書籍に『孵化日記2011年5月』(thoasa publishing, 2016)、小説『フジミ楼蜂』(ことばと vol.3 所収, 2021)、詩集『家で待つ君のための暦物語』(2021)がある。コ本や honkbooks主宰。「だつお」というアーティスト名でも活動。 http://datsuo.com --------------------------------------- 目録 ユキちゃんユキちゃん 土のなか吐いて潜る 製紙工場の白い紙 体温のない吐息 ソテツはぼくの名前 メロンソーダの巣 夜の箱 製紙工場の白い紙 放射線ドッヂボール 夕暮れの黒い土手 風呂モニュメンタル メロンソーダの巣 夜の箱 鍵あなのドジョウ セミ はしごの先 待ちあわせ 飲んでいるふり グラウンド・タイム・スケープ 夕日を見ない 手のなかのチョウ 三本のチョコバナナ 外側の動物園 夜の箱 中学二年生 死んでない ジェットエンジン さがしもの 遠くから見る現在地のピン 授業予知 土のなかのチョウ 小さな虫大きな虫 空気のかたち 雨がみえなくなる未来 ただ光るだけのLED光が照らさない 鍵、手のひらのチョウ
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TEXT BY NO TEXT
¥3,300
橘上+松村翔子+山田亮太『TEXT BY NO TEXT』(いぬのせなか座叢書5) 橘上+松村翔子+山田亮太『TEXT BY NO TEXT』(いぬのせなか座)は、「NO TEXT」3公演を元に制作された戯曲・詩集・上演記録などからなる4冊組み。「即興」「演劇」「詩」どう表現してもしっくり来ません。それらを軽々飛び越してしまっているからかもしれませんね。 以下、版元より 詩人にしてバンド「うるせぇよ。」のヴォーカルとしても活動する橘上が、2016年より続けるパフォーマンス「NO TEXT」。 読みあげる書物も付き従う戯曲も持たず、身一つで舞台に立ち、言葉を即興かつ高速に発し続けるその試みは、「朗読」や「(即興)演劇」といった既存の枠を超え、限界まで同期させられた思考と発語が新たに生み出す肉体/時間/言葉の存在を、奇妙なユーモアの奔出とともに雄弁に示してきた。 今回、いぬのせなか座が叢書第5弾として同時刊行する『TEXT BY NO TEXT』は、2018年に行なわれた「NO TEXT」3公演を引き受け制作される、4つの書物から成る。 ヴァーバル・アート・ユニット「TOLTA」のメンバーにして多数のインスタレーション・パフォーマンスにも関わる詩人・山田亮太が、「上演/記録」をテーマに組み上げる新詩集『XT Note』。 演劇ユニット「モメラス」の主宰・劇作・演出であり、俳優としても多数の作品で活躍する松村翔子が、実際の事件をモチーフに母と子、障害と虐待を描く渾身の戯曲『渇求』。 激しく空転する独白が言葉と意味を脱臼し、代え難いユーモアと切実さを放つ詩集『複雑骨折』などで知られる橘上が、「NO TEXT」での言葉の氾濫に自ら向き合い、その声と批評性を純化、増幅することで成立させた、6年ぶり待望の新詩集『SUPREME has come』。 さらに、企画の発端=素材となった「NO TEXT」3公演をテキスト化し、「いぬのせなか座」主宰の山本浩貴がレイアウト、3公演の記録映像が視聴できるURLや本企画に関わる橘上のエッセイも複数収録する『NO TEXT Dub』。 「戯曲から上演へ」ではなく「上演から戯曲へ」。あるいは幾つかの即興を素材にして新たに書かれる思考と発語の所在——。 自由と従属のリミックスをめぐる4つのプロセスが、次なる上演に向けてここに隣接される。
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緑と楯 ロングロングデイズ
¥1,000
雪舟えま『緑と楯 ロングロングデイズ』(短歌研究社)