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菓子屋横丁月光荘 金色姫
¥770
ほしおさなえ『菓子屋横丁月光荘 金色姫』 よく知っている地域が小説に取り上げられると、単に嬉しい以上に、ここまで調べるのかとか、どの材料を物語に活かすのかが分かって非常に面白いですね。 何の話かって、本屋のある霞ケ関が小説に登場するのです! ほしおさなえ『菓子屋横丁月光荘 金色姫』(角川春樹事務所)は川越を舞台にした、家の声が聞こえる主人公の物語で、今作が5作品目にあたります。 製作にあたり38℃ @ondo_38 がほしおさんを案内し、物語に角栄商店街や小畔川が登場することになった、というわけです(押入れをぶち抜いた、一階でコーヒーを飲めるお店も登場しますよ…これはまさか…?)。 「土地と記憶をめぐる四世代にわたる物語」と紹介されているように、主人公の生きている時間の幅以上のことを題材として取り扱っています。過去へと世代を遡れば当然、様々な「場所」も扱うことになりますね。 つまり、時間的に幅の広い作品は、同じく空間的にも広がりを見せることになる、と言えるでしょう。だから、私たちが「川越」という言葉でイメージするものとは、だいぶ異なった姿を、この小説は見せてくれるはずです。 それは行政が定めた区画でもないし、まして観光に便利な地図でもない。近隣の市町村や、はたまた全然遠くの土地とも境目なく、無節操につながってしまう(なぜなら人間は行政単位など関係なく様々な理由によって移動するからです)。 実際私たちは境目を意識することなく生活しているのだけれど、それを表現できるのはやはり物語ならではなのではないか。
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木の十字架
¥1,870
堀辰雄:著 山本善行:監修『木の十字架』(灯光舎)
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納豆マガジン vol.2 特集:ひきわりをあつめて。
¥1,980
納豆マガジン vol.2 特集:ひきわりをあつめて。 ついに2号が出ました。特集はひきわりなんだそうです。前号より20p増量、今回も納豆のグラビアからファッション、作り手へのインタビューまでバリエーション豊かです。どこから読んでいいかわからない人のためのチャート付き。
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シン・サークルクラッシャー麻紀
¥2,200
*8/12追記:重版かかって再々入荷!お早めに〜!!! 佐川恭一『シン・サークルクラッシャー麻紀』(破滅派) すでに電子媒体で発表されていた『サークルクラッシャー麻紀』と『受章第一作』(いずれも破滅派)に加筆修正し、合体させた作品です。挑発的なタイトルや前評判とは裏腹に、仕事や創作、欲望など人生において誰もがぶつかるであろう壁に果敢に挑戦する、骨太な作品に仕上がっています。いや、本当にびっくりしました。久々に小説を読んで震えました。体の底から力が湧いてくるような、そんな読後感です。 佐川恭一『アドルムコ会全史』(代わりに読む人)も合わせて読むのがおすすめです。というよりも、共通するテーマやモチーフが多いので、合わせて読むとより佐川恭一の世界観を楽しめるはずです。以下のページで販売しています! https://hoorubooks.thebase.in/items/59709977 以下、出版社より クラッシャられるべきか、クラッシャられないべきか、それが問題だ――あのサークルクラッシャーが帰ってきた! 佐川恭一の名を世に知らしめた伝説の作品が長編小説として生まれ変わる。奇跡の童貞文学、ここに誕生。
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本の雑誌 2022年9月号 特集:本を直す!
¥770
本の雑誌 2022年9月号 特集:本を直す! 「本の雑誌」9月号、本屋ライター・和氣さんの連載「本屋の旅人」にホォルと38℃のインタビュー記事が掲載されています!
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とても小さな理解のための
¥1,760
SOLD OUT
向坂くじら『とても小さな理解のための』(しろねこ社) 詩人であり、朗読パフォーマンスや教育の分野でも活躍する向坂くじらの第一詩集。画家であるPainter kuroが運営する主にアートブックを出版する福岡のしろねこ社より刊行されました。 埼玉・桶川でも教育活動に携わり、「国語教室ことぱ社」を創設している。
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omoide in my head
¥2,310
森千裕『omoide in my head』
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一般
¥1,000
オルタナ旧市街『一般』 ネットプリントマガジン『オルタナ旧市街』を不定期刊行中のオルタナ旧市街より、エッセイと創作の混ざり合った不思議な本が届きました。 一編をきちんと象徴する言葉と、ラフな言葉のバランスが絶妙で、ついつい言葉の侵入を許してしまう、そんな印象を受けました。オルタナ旧市街さんが、これからも生活したり、遠くへ行って、「極めて個人的な演劇」をしたり、姿勢の人々をのぞいたり、事件に遭遇して否応なく考えさせられたりし続けられる世界であって欲しいなと思います。そしてそれをこんなふうに遠くから眺めていられたら。
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八画文化会館 vol.9 商店綜合型録
¥1,980
SOLD OUT
八画文化会館 vol.9 商店綜合型録 2010年5月から不定期刊行されているインディペンデントマガジン『八画文化会館』。今回が最終号となります。理美容院・クリーニング店・メガネ店・電気店・薬局・スーパーマーケットを全国から収集し分類しています。 これでもかというほど写真や対談が盛り込まれているにも関わらず、とても読みやすい誌面になっていて雑誌づくりに対する気概が感じられます。バックナンバーもあわせて是非。
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とんこつQ&A
¥1,650
SOLD OUT
今村夏子『とんこつQ&A』(講談社) 「群像」に掲載された4作を収録しています。それぞれ面白いので4作とも紹介します。 「とんこつQ&A」 中華料理店「とんこつ」で働き始めた主人公は、言えなかった「いらっしゃいませ」を、メモを読み上げることで克服する。 それからというもの、いらっしゃいませなどの挨拶、店の名前の由来、おすすめメニューなど、店内で発するあらゆる発話をメモに記入し、「とんこつQ&A」を作り上げる。メモをさっと取り出し、お客様からの言葉に応えるのだ。そこにもう一人、アルバイトの丘崎さんが加わって…。 冒頭の店名に関するあるあるネタを飲み込み、QとAが唐突に登場したり、メモを見なくては喋れない主人公を、それくらいはありえるかもな、と許容してページをめくったが最後、あれもこれもと詰め込まれ、最終的にはとんでもない地点まで連れて行かれる。設定の勝利。 奇抜というか、人を食ったようなというか、あまり聞き馴染みのないタイトルだった。それがどうだ、読み終えた後ではこのタイトルでしかあり得ない。 「嘘の道」 「与田正」といういじめられっ子が話題の中心にはなるものの、直接に登場する場面は少なく、彼の周りをぐるぐるとまわる噂と悪評で物語が進む。その噂自体が主人公の姉弟自身に襲いかかるのは何の因果か。 「良夫婦」 朗らかで、人の苦境にすぐ同情してしまう妻と、尻に敷かれているようでいざという時は頼りになる夫。古くなった家で過ごす二人はしかし、重大な過失を隠しながら生活している。妻の失敗を夫が隠し、今日も変わらず働き、眠る。穏やかな描写のまま終わるのがなかなか怖い。 「冷たい大根の煮物」 ああ、やはり。という結末ではあるし、主人公は客観的に見ても被害者だと思うのだが、一連の出来事はもはや主人公の一部になっていて、生活の役に立っている。主人公に悲しそうな素振りも描写もない。善悪ははっきり分かれてやってくるのではなく、分かち難く私たちの生活に染み付いていることを意識させられる。
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後藤明生文学講義CD
¥1,500
「後藤明生文学講義CD」 今年で生誕90年を迎えた後藤明生。創作の一方で、文章指南本の執筆や講義も多く行なっていました。本作は谷崎潤一郎「吉野葛」を題材に行われた講義の前半です。小説における時間と空間をいかに作るか、という話や、口碑文学についての解説が大変面白いです。 以下、版元のアーリーバード・ブックスより 1982年4月30日にNHK文化センターにて行われた、作家後藤明生による文学講義の前半部分をCD化しました。テキストは谷崎潤一郎作「吉野葛」です。
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挾み撃ち【デラックス解説版】
¥2,420
後藤明生『挾み撃ち【デラックス解説版】』(つかだま書房) 「あの外套はいったいどこに消え失せたのだろう?いったい、いつわたしの目の前から姿を消したのだろうか?このとつぜんの疑問が、その日わたしを早起きさせたのだった」 今年で生誕90年を迎えた「内向の世代」の作家・後藤明生。『挾み撃ち』本文に加え、豪華な解説のついた決定版です。当店のある埼玉県の地名も登場するので取り扱おうと読んでいたら、あまりの面白さに後藤明生フェアを開催したり、読書会に参加したりと思わぬハマり方をしてしまいました。 20年前に失くした外套の行方が「とつぜん」気になりだし、かつて住んだ場所を一日訪ね歩く、という筋書きではありますが、少し妙な構造をしています。 というのは、主人公・赤木はその一日のことを、山川という男(結局何者なのか?)を待ちながらお茶の水橋の上で回想しているのですが、回想の中にさらに「とつぜん」思い出される記憶が挿入される。それは自身の生まれ故郷である朝鮮のことだったり、戦後少年時代を過ごした福岡のことだったり、大学に入るために出てきた東京や埼玉のことだったりする。つまり、時間の構造がものすごく入れ込んでいるのですね。 読後に振り返ってみれば「複雑な構造をしているなあ」と感じるのですが、読んでいる間は「とつぜん」始まる饒舌な回想や、久しぶりに会うおばさんや友人との噛み合わない会話がおかしく、かつ短文が続くので、テンポ良く読ませるのです。読ませはするけれど具体的に何かが起こるわけでも、カタルシスが得られるわけでもない。ただただ、主人公のどこにも行けなさ、所在のなさがひしひしと伝わってきます。 さまざまな矛盾する主義主張や思考の間で挾み撃ちになっている現代の私たちこそ、今読むべき作品だと思います。 以下、出版社より 物語の筋を追っても意味なし! そんな「小説らしくない小説」が、 なぜ「日本現代文学」の傑作と称され読み継がれているのか? 解説だけで全288頁のうち80頁! 文芸評論の重鎮たちが様々な視点から読解 遠い昔に失われた外套を探すため、記憶を頼りに各地を訪ね歩く主人公。しかし主人公の「語り」は「とつぜん」に脱線し、読者をも迷路へと誘ってゆく――。「内向の世代」を代表する小説家・後藤明生の代表作にして「日本現代文学の傑作」とも評される小説『挾み撃ち』。しかし、「面白い!」と魅了される人々の一方で、「まったく理解できない!」と困惑する読者も少なくない。小説『挾み撃ち』の面白さの根源は何か?――。本書では、本作とともに、蓮實重彦、平岡篤頼、奥泉光&いとうせいこう、多岐祐介といった文芸評論の重鎮が、それぞれの視点で『挾み撃ち』を解説。解説だけで全288ページのうち約80ページも! 多様な角度からの読解で、この「日本現代文学の傑作」の魅力に迫る。
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四十歳のオブローモフ【イラストレイテッド版】
¥2,640
後藤明生『四十歳のオブローモフ【イラストレイテッド版】』(つかだま書房)
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代わりに読む人0 創刊準備号
¥1,980
友田とん『パリのガイドブックで東京の町を闊歩する』、わかしょ文庫『うろん紀行』、佐川恭一『アドルムコ会全史』などを出版する「代わりに読む人」より、文芸雑誌が創刊されます。とはいえ今回は創刊準備号なのだそうで。特集も「準備」となっています。 以下をご覧いただければお分かりいただけると思いますが、作家だけにとどまらず幅の広い書き手が準備について考えます。小特集は当店でもフェアを開催している作家、後藤明生を取り上げ、「これから読む後藤明生」としています。代わりに読む人の本と後藤明生を並べていた当店としては、まさにこの雑誌を待っていたのではないかというほどぴったりなフェアを開催していたことになります。これは思い切って取り上げねばということで、当店で今まで頼んだことのない冊数を注文いたしました。 合わせて代わりに読む人の本、後藤明生の著作、執筆者の作品、関連本も取り揃える予定です。 以下、出版社より -------------------------------------------- 可笑しさで世界をすこしだけ拡げる出版レーベル〈代わりに読む人〉から新しい文芸雑誌『代わりに読む人』を刊行します。「読む」ことを通じた思いもよらぬ隣人や異界との出会いを生み、読む/書く人たちの試行錯誤の場となる「公園」を目指します。 『代わりに読む人0 創刊準備号』では、特集テーマも「準備」とし、有名、無名の分け隔てなく、文芸・アート・科学・実務などの分野から、次の作品を読みたい、広く読まれてほしいと感じる人たちに、「準備」から想起された小説・エッセイ・漫画などを執筆していただきました。 連載・小特集は「これから読む後藤明生」とし、今年生誕90周年を迎えた小説家・後藤明生について初心者からファン、批評家・怪談作家まで様々な人たちに寄稿いただいています。 「2021年に読んだ本」では、執筆者に2021年に読んだ本を紹介してもらっています。どなたかの作品を目当てに手に取ってみたら、まったく予想もしなかった隣の作品・作者と出会い、関心が広がったというようなことを期待して編集しています。 【目次】 ◎特集「準備」 二見さわや歌……行商日記 陳詩遠……………解凍されゆく自身とジュネーブ近郊の地下で起こっている乱痴気騒ぎについて 小山田浩子………バカンス 伏見瞬……………準備の準備のために、あるいはなぜ私が「蓮實重彥論」を書くことになったか 田巻秀敏…………『貨物船で太平洋を渡る』とそれからのこと オルタナ旧市街…完璧な想像(ポートオーソリティ・バスターミナルで起こったこと) 近藤聡乃…………ただ暮らす 橋本義武…………準備の学としての数学 わかしょ文庫……八ツ柳商事の最終営業日 柿内正午…………会社員の準備 海乃凧……………身支度 太田靖久…………×××××× 佐川恭一…………ア・リーン・アンド・イーヴル・モブ・オブ・ムーンカラード・ハウンズの大会 鎌田裕樹…………オチがない人生のための過不足ない準備 毛利悠子…………思いつき 友田とん…………雑誌の準備、準備としての雑誌 ◎「2021年に読んだ本」 近藤聡乃/太田靖久/佐川恭一田巻秀敏/柿内正午/蛙坂須美/小山田浩子/二見さわや歌/オルタナ旧市街/伏見瞬/東條慎生/海乃凧/陳詩遠/鎌田裕樹/わかしょ文庫/haco/友田とん/コバヤシタケシ ◎連載・小特集「これから読む後藤明生」 haco………………日常と非日常の境界線 蛙坂須美…………後藤明生と幽霊 ──『雨月物語』『雨月物語紀行』を読む 東條慎生…………見ることの政治性 ——なぜ後藤明生は政治的に見えないのか? 友田とん…………後藤明生が気になって ◎コバヤシタケシ…………dessin (1) ◎執筆者略歴 ◎編集後記 ◆装画・挿画・ロゴ◆ 佐貫絢郁 ◆制作◆ 装幀・コバヤシタケシ 組版・飯村大樹 校正・サワラギ校正部 印刷製本・シナノ印刷株式会社
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うろん紀行
¥2,420
〈新刊〉わかしょ文庫『うろん紀行』代わりに読む人、2021 小説を読む物語。海芝浦駅で『タイムスリップ・コンビナート』を読み、コストコで『蔓延元年のフットボール』を読む。訪れた場所と選んだ小説、著者の葛藤や迷い、決断がないまぜになって一つの結晶になる。作中に登場する写真をあしらったオリジナルしおり付き。高田綾菜さんによるボラの絵も素晴らしい。ボラとコストコ…絶対見ない組み合わせですよね。 店主はこの本にハマりすぎて、トークイベントにまで足を運びました。わかしょ文庫さんと、出版社の友田とんさんと、校正を担当したサワラギ校正部 北村さわこさんの鼎談です。 わかしょ文庫「ランバダ」もぜひあわせてどうぞ。著者の文体の幅広さ、突拍子もないエピソード満載で、『うろん紀行』の楽しみ方が広がること請け合いです。 ランバダvol.1~3セット https://hoorubooks.thebase.in/items/56600363 著者 わかしょ文庫 装丁 コバヤシタケシ 装画 高田綾菜 校正 サワラギ校正部 四六判204頁 上製本 価格 2,200円(本体)+税 発行者 代わりに読む人 ISBN 978-4-9910743-3-2 C0093 発行日 2021年8月20日
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この人を見よ
¥4,180
後藤明生『この人を見よ』(幻戯書房) 以下、出版社より 徹底した批評意識と小説の概念をも破砕するユーモアが生み出す、比類なき幻想空間。戦後日本文学の鬼才が、20世紀を総括する代表作『壁の中』を乗り越えるべく未完長篇、初の書籍化。
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アミダクジ式ゴトウメイセイ【座談篇】
¥4,180
後藤明生『アミダクジ式ゴトウメイセイ【座談篇】』 以下、出版社より 柄谷行人「将来、後藤明生を反復するやつが間違いなく出てくる」(【対談編】「文学の志」より) 「内向の世代」とはいったい何だったのか? すべて「単行本未収録」の近代文学史の貴重な証言が満載! 【全て単行本初収録・戦後文学の貴重な証言満載の座談集】 後藤明生はじめ、阿部昭、黒井千次、坂上弘、古井由吉など、サラリーマンをしながら小説を執筆した「内向の世代」の作家たちが集結した「伝説」の連続座談会をはじめ、1970年代から1990年代に行われた、全て単行本初収録の座談集。また、実作者でありながら優れた理論家でもあった後藤が提唱した「小説を読まずに小説を書いた人はいない」という考えに基づく「千円札文学論」など独自の文学論を開陳。全ての文学ファン&研究者が必携の書。『対談篇』も同時刊行。
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アミダクジ式ゴトウメイセイ【対談篇】
¥4,180
後藤明生『アミダクジ式ゴトウメイセイ【対談篇】』 以下、出版社より 蓮實重彥「後藤さんは批評家を励ましてくれる数少ない小説家なんです」(本書「小説のディスクール」より) 「千円札文学論」とは何か? 「分裂=混血の文学」とは何か? そして日本近代文学の「超ジャンル性」とは何か? 【没後18年・待望の新刊は初の対談集】 名著『挾み撃ち』で知られる小説家・後藤明生――。電子書籍による復刊や選集『後藤明生コレクション』の刊行もスタートし再評価の機運が高まっている。収録した計22本の対談では、五木寛之、小島信夫、蓮實重彥、柄谷行人、島田雅彦らを相手に、敗戦による引揚体験や、小説の技法・文体・喜劇性、ゴーゴリやカフカなど海外文学からの影響、日本近代文学の起源などをテーマに、アミダクジのように話を脱線させながら饒舌に語り尽くす。後藤ファン必携の書。『座談篇』も同時刊行。
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壁の中【新装普及版】
¥4,070
後藤明生『壁の中【新装普及版】』 古書価格の高騰で「読みたくても読めなかった小説No.1」とも言われ、日本戦後文学史の中に埋没してしまった「ポストモダン小説」の怪作が、読みやすくなった新たな組版(1段組)かつ新装幀で甦る! ドストエフスキー、ゴーゴリ、カフカ、聖書、永井荷風などを俎上に載せ、アミダクジ式に話を脱線させながら読者を迷宮へと誘い込む「インターテクスチュアリティ」の極北は……まさかの官能小説? キャンパスノベル? 妄想ミステリー? 堂々の680ページ&原稿用紙1700枚! ◉巻末付録 作者解読:多和田葉子 作品解読:坪内祐三
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引揚小説三部作――「夢かたり」「行き帰り」「嘘のような日常」
¥6,111
後藤明生『引揚小説三部作――「夢かたり」「行き帰り」「嘘のような日常」』(つかだま書房) 以下、出版社より 「お母さん、いまわたしはどこにいるのでしょう? わたしが帰る場所はあるのでしょうか?」 こんな時代だから知ってほしい――。 敗戦後、植民地から引揚げてきた日本人たちの 日本という国家や日本人に対する複雑な想いを。 日本の植民地だった朝鮮半島で「軍国少年」として育ち、敗戦のため生まれ故郷を追われ、その途上で祖母と父を亡くし、命がけで「38 度線」を超えて内地に引揚げてきた。しかし、敗戦から何年が経っても、心の奥底には「日本」という国家や「日本人」に対する違和感を抱え、自らを日本人でありながら「異邦人(エトランゼ)」のように感じていた――。そんな引揚者たちの「失われた故郷」での美しき想い出、ソ連侵攻による恐怖、国家に対する幻想と崩壊、そして、不条理に奪われた「アイデンティティ」を取り戻すための葛藤……。作者自身の引揚体験を描いた『夢かたり』『行き帰り』『噓のような日常』の三作品を完全版で所収! ◉作者自身の引揚体験を描いた三作品を完全版で所収 ◉巻末解説:山本貴光(文筆家・ゲーム作家)
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小説は何処から来たか【21st Century Edition】
¥3,960
後藤明生『小説は何処から来たか【21st Century Edition】』 以下、出版社より 「なぜ小説を書くのか? それは小説を読んだからだ」――。独自の小説論を提唱し実践してきた小説家・後藤明生が、過去に発表した原稿を自らの手で「REMIX=再編集」し、日本近代文学史の書き直しに挑んだ小説論の集大成。二葉亭四迷→日本文学とロシア文学→夏目漱石→芥川龍之介→永井荷風→宇野浩二→牧野信一→横光利一→太宰治→花田清輝→武田泰淳→鮎川信夫→丸谷才一→古井由吉……。巻末には著者が自ら編纂した「世界小説年表」を掲載。小説の未来は小説の過去にある!? 【もくじ】 プロローグ――柄谷行人の『日本近代文学の起源』と『反小説論』 第1章❖日本近代小説の夢と現実――二葉亭四迷 第2章❖喜劇としての近代――日本文学とロシア文学 第3章❖二十世紀小説としての新しさ――夏目漱石 第4章❖方法としてのテキスト――芥川龍之介 第5章❖「生理学」の方法――永井荷風 第6章❖「都市小説」の構造――宇野浩二と永井荷風 第7章❖夢のプログラム――宇野浩二と牧野信一 第8章❖自意識の喜劇――横光利一 第9章❖反復と引用のエクリチュール――太宰治 第10章❖超ジャンルと楕円Ⅰ――花田清輝 第11章❖超ジャンルと楕円Ⅱ――武田泰淳 第12章❖文体的思考――鮎川信夫 第13章❖フィクションの変奏――丸谷才一 第14章❖「戦中少年」の体験と方法――古井由吉 第15章❖ジャンルと形式の起源Ⅰ 第16章❖ジャンルと形式の起源Ⅱ 世界小説年表 あとがき 新版解説❖樫原辰郎(映画監督・評論家) 【まえがき】 小説は何処へ行くか、と問われるときは、小説の危機か衰弱か、相場は大体決まっている。そしてその問いは、小説は何処から来たか、という問いとほぼ同じである。衰弱した小説とは、小説は何処から来たか、というジャンルとしての自己反省を忘れた小説だからである。また、混血=分裂による超ジャンル性、すなわち「いかがわしさ」の自意識を忘れた小説だからである。つまり、小説の未来は小説の過去にある。「われわれは皆ゴーゴリの『外套』から出て来た」とドストエフスキーはいった。衰弱した小説は『外套』を持たぬ小説である。――(本書「プロローグ」より)
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笑いの方法――あるいはニコライ・ゴーゴリ【増補新装版】
¥4,070
後藤明生『笑いの方法――あるいはニコライ・ゴーゴリ【増補新装版】』 以下、出版社より 後藤明生「没後」20年、ゴーゴリ「生誕」210年! ゴーゴリ作品の真髄である「笑い」に迫った名著が、大幅な増補&新装版で蘇る。新版特典として、後藤が翻訳したゴーゴリの『鼻』と恩師・横田瑞穂氏と共訳した『外套』を初再録。伝説の名訳が完全版で掲載されるのは実に40年ぶり。「われわれは皆ゴーゴリの『外套』から出て来た」というドストエフスキーの名文句の真意とは? 他者を笑う者は他者から笑われる!?——。これまで誤解され続けたゴーゴリの「笑い」を刷新する後藤の孤軍奮闘ぶりをご覧あれ!
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挾み撃ち
¥1,540
後藤明生『挾み撃ち』(講談社) 以下、出版社より 20年前に北九州から上京した時に着ていた旧陸軍の外套の行方を求めて、昔の下宿先を訪ねる1日の間に、主人公の心中には、生まれ育った朝鮮北部で迎えた敗戦、九州の親の郷里への帰還、学生時代の下宿生活などが、脱線をくり返しながら次々に展開する。 他者との関係の中に自己存在の根拠を見出そうとする思考の運動を、独特の饒舌体で綴った傑作長篇。
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首塚の上のアドバルーン
¥1,430
後藤明生『首塚の上のアドバルーン』(講談社) 以下、出版社より マンションの14階から語り手は、開発によって次第に変化する遠景の中にこんもりとした丘を見つけ、それが地名の由来となった馬加(まくわり)氏の首塚と知る。以来テーマはひたすら首塚の探索となり、新田義貞の首塚から、さらに『太平記』『平家物語』のすさまじい首級合戦へとアミダクジ式につながり、時空を越えて展開する。