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挾み撃ち【デラックス解説版】
¥2,420
後藤明生『挾み撃ち【デラックス解説版】』(つかだま書房) 「あの外套はいったいどこに消え失せたのだろう?いったい、いつわたしの目の前から姿を消したのだろうか?このとつぜんの疑問が、その日わたしを早起きさせたのだった」 今年で生誕90年を迎えた「内向の世代」の作家・後藤明生。『挾み撃ち』本文に加え、豪華な解説のついた決定版です。当店のある埼玉県の地名も登場するので取り扱おうと読んでいたら、あまりの面白さに後藤明生フェアを開催したり、読書会に参加したりと思わぬハマり方をしてしまいました。 20年前に失くした外套の行方が「とつぜん」気になりだし、かつて住んだ場所を一日訪ね歩く、という筋書きではありますが、少し妙な構造をしています。 というのは、主人公・赤木はその一日のことを、山川という男(結局何者なのか?)を待ちながらお茶の水橋の上で回想しているのですが、回想の中にさらに「とつぜん」思い出される記憶が挿入される。それは自身の生まれ故郷である朝鮮のことだったり、戦後少年時代を過ごした福岡のことだったり、大学に入るために出てきた東京や埼玉のことだったりする。つまり、時間の構造がものすごく入れ込んでいるのですね。 読後に振り返ってみれば「複雑な構造をしているなあ」と感じるのですが、読んでいる間は「とつぜん」始まる饒舌な回想や、久しぶりに会うおばさんや友人との噛み合わない会話がおかしく、かつ短文が続くので、テンポ良く読ませるのです。読ませはするけれど具体的に何かが起こるわけでも、カタルシスが得られるわけでもない。ただただ、主人公のどこにも行けなさ、所在のなさがひしひしと伝わってきます。 さまざまな矛盾する主義主張や思考の間で挾み撃ちになっている現代の私たちこそ、今読むべき作品だと思います。 以下、出版社より 物語の筋を追っても意味なし! そんな「小説らしくない小説」が、 なぜ「日本現代文学」の傑作と称され読み継がれているのか? 解説だけで全288頁のうち80頁! 文芸評論の重鎮たちが様々な視点から読解 ? 遠い昔に失われた外套を探すため、記憶を頼りに各地を訪ね歩く主人公。しかし主人公の「語り」は「とつぜん」に脱線し、読者をも迷路へと誘ってゆく——。「内向の世代」を代表する小説家・後藤明生の代表作にして「日本現代文学の傑作」とも評される小説『挾み撃ち』。しかし、「面白い!」と魅了される人々の一方で、「まったく理解できない!」と困惑する読者も少なくない。小説『挾み撃ち』の面白さの根源は何か?——。本書では、本作とともに、蓮實重彦、平岡篤頼、奥泉光&いとうせいこう、多岐祐介といった文芸評論の重鎮が、それぞれの視点で『挾み撃ち』を解説。解説だけで全288ページのうち約80ページも! 多様な角度からの読解で、この「日本現代文学の傑作」の魅力に迫る。
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四十歳のオブローモフ【イラストレイテッド版】
¥2,640
後藤明生『四十歳のオブローモフ【イラストレイテッド版】』(つかだま書房)
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アミダクジ式ゴトウメイセイ【座談篇】
¥4,180
後藤明生『アミダクジ式ゴトウメイセイ【座談篇】』 以下、出版社より 柄谷行人「将来、後藤明生を反復するやつが間違いなく出てくる」(【対談編】「文学の志」より) 「内向の世代」とはいったい何だったのか? すべて「単行本未収録」の近代文学史の貴重な証言が満載! 【全て単行本初収録・戦後文学の貴重な証言満載の座談集】 後藤明生はじめ、阿部昭、黒井千次、坂上弘、古井由吉など、サラリーマンをしながら小説を執筆した「内向の世代」の作家たちが集結した「伝説」の連続座談会をはじめ、1970年代から1990年代に行われた、全て単行本初収録の座談集。また、実作者でありながら優れた理論家でもあった後藤が提唱した「小説を読まずに小説を書いた人はいない」という考えに基づく「千円札文学論」など独自の文学論を開陳。全ての文学ファン&研究者が必携の書。『対談篇』も同時刊行。
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アミダクジ式ゴトウメイセイ【対談篇】
¥4,180
後藤明生『アミダクジ式ゴトウメイセイ【対談篇】』 以下、出版社より 蓮實重?「後藤さんは批評家を励ましてくれる数少ない小説家なんです」(本書「小説のディスクール」より) 「千円札文学論」とは何か? 「分裂=混血の文学」とは何か? そして日本近代文学の「超ジャンル性」とは何か? 【没後18年・待望の新刊は初の対談集】 名著『挾み撃ち』で知られる小説家・後藤明生——。電子書籍による復刊や選集『後藤明生コレクション』の刊行もスタートし再評価の機運が高まっている。収録した計22本の対談では、五木寛之、小島信夫、蓮實重?、柄谷行人、島田雅彦らを相手に、敗戦による引揚体験や、小説の技法・文体・喜劇性、ゴーゴリやカフカなど海外文学からの影響、日本近代文学の起源などをテーマに、アミダクジのように話を脱線させながら饒舌に語り尽くす。後藤ファン必携の書。『座談篇』も同時刊行。
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壁の中【新装普及版】
¥4,070
後藤明生『壁の中【新装普及版】』 古書価格の高騰で「読みたくても読めなかった小説No.1」とも言われ、日本戦後文学史の中に埋没してしまった「ポストモダン小説」の怪作が、読みやすくなった新たな組版(1段組)かつ新装幀で甦る! ドストエフスキー、ゴーゴリ、カフカ、聖書、永井荷風などを俎上に載せ、アミダクジ式に話を脱線させながら読者を迷宮へと誘い込む「インターテクスチュアリティ」の極北は……まさかの官能小説? キャンパスノベル? 妄想ミステリー? 堂々の680ページ&原稿用紙1700枚! ?巻末付録 作者解読:多和田葉子 作品解読:坪内祐三
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引揚小説三部作——「夢かたり」「行き帰り」「嘘のような日常」
¥6,111
後藤明生『引揚小説三部作——「夢かたり」「行き帰り」「嘘のような日常」』(つかだま書房) 以下、出版社より 「お母さん、いまわたしはどこにいるのでしょう? わたしが帰る場所はあるのでしょうか?」 こんな時代だから知ってほしい——。 敗戦後、植民地から引揚げてきた日本人たちの 日本という国家や日本人に対する複雑な想いを。 日本の植民地だった朝鮮半島で「軍国少年」として育ち、敗戦のため生まれ故郷を追われ、その途上で祖母と父を亡くし、命がけで「38 度線」を超えて内地に引揚げてきた。しかし、敗戦から何年が経っても、心の奥底には「日本」という国家や「日本人」に対する違和感を抱え、自らを日本人でありながら「異邦人(エトランゼ)」のように感じていた——。そんな引揚者たちの「失われた故郷」での美しき想い出、ソ連侵攻による恐怖、国家に対する幻想と崩壊、そして、不条理に奪われた「アイデンティティ」を取り戻すための葛藤……。作者自身の引揚体験を描いた『夢かたり』『行き帰り』『?のような日常』の三作品を完全版で所収! ?作者自身の引揚体験を描いた三作品を完全版で所収 ?巻末解説:山本貴光(文筆家・ゲーム作家)
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小説は何処から来たか【21st Century Edition】
¥3,960
SOLD OUT
後藤明生『小説は何処から来たか【21st Century Edition】』 以下、出版社より 「なぜ小説を書くのか? それは小説を読んだからだ」——。独自の小説論を提唱し実践してきた小説家・後藤明生が、過去に発表した原稿を自らの手で「REMIX=再編集」し、日本近代文学史の書き直しに挑んだ小説論の集大成。二葉亭四迷→日本文学とロシア文学→夏目漱石→芥川龍之介→永井荷風→宇野浩二→牧野信一→横光利一→太宰治→花田清輝→武田泰淳→鮎川信夫→丸谷才一→古井由吉……。巻末には著者が自ら編纂した「世界小説年表」を掲載。小説の未来は小説の過去にある!? ? 【もくじ】 プロローグ——柄谷行人の『日本近代文学の起源』と『反小説論』 第1章?日本近代小説の夢と現実——二葉亭四迷 第2章?喜劇としての近代——日本文学とロシア文学 第3章?二十世紀小説としての新しさ——夏目漱石 第4章?方法としてのテキスト——芥川龍之介 第5章?「生理学」の方法——永井荷風 第6章?「都市小説」の構造——宇野浩二と永井荷風 第7章?夢のプログラム——宇野浩二と牧野信一 第8章?自意識の喜劇——横光利一 第9章?反復と引用のエクリチュール——太宰治 第10章?超ジャンルと楕円Ⅰ——花田清輝 第11章?超ジャンルと楕円Ⅱ——武田泰淳 第12章?文体的思考——鮎川信夫 第13章?フィクションの変奏——丸谷才一 第14章?「戦中少年」の体験と方法——古井由吉 第15章?ジャンルと形式の起源Ⅰ 第16章?ジャンルと形式の起源Ⅱ 世界小説年表 あとがき 新版解説?樫原辰郎(映画監督・評論家) ? 【まえがき】 小説は何処へ行くか、と問われるときは、小説の危機か衰弱か、相場は大体決まっている。そしてその問いは、小説は何処から来たか、という問いとほぼ同じである。衰弱した小説とは、小説は何処から来たか、というジャンルとしての自己反省を忘れた小説だからである。また、混血=分裂による超ジャンル性、すなわち「いかがわしさ」の自意識を忘れた小説だからである。つまり、小説の未来は小説の過去にある。「われわれは皆ゴーゴリの『外套』から出て来た」とドストエフスキーはいった。衰弱した小説は『外套』を持たぬ小説である。——(本書「プロローグ」より) ?
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笑いの方法——あるいはニコライ・ゴーゴリ【増補新装版】
¥4,070
後藤明生『笑いの方法——あるいはニコライ・ゴーゴリ【増補新装版】』 以下、出版社より 後藤明生「没後」20年、ゴーゴリ「生誕」210年! ゴーゴリ作品の真髄である「笑い」に迫った名著が、大幅な増補&新装版で蘇る。新版特典として、後藤が翻訳したゴーゴリの『鼻』と恩師・横田瑞穂氏と共訳した『外套』を初再録。伝説の名訳が完全版で掲載されるのは実に40年ぶり。「われわれは皆ゴーゴリの『外套』から出て来た」というドストエフスキーの名文句の真意とは? 他者を笑う者は他者から笑われる!???。これまで誤解され続けたゴーゴリの「笑い」を刷新する後藤の孤軍奮闘ぶりをご覧あれ!