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くどうれいん『うたうおばけ』

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くどうれいん『うたうおばけ』

ともだち、いますか。「友達」じゃなくて、「ともだち」です。パーカーを後ろ前に来て、フードで顔を覆い、「おばけ、歌います」とレミオロメンを歌い出すような、ともだち。ここにたくさんいますから、ちょっと覗いてご覧なさい。

何なんだともだちって。と問うてくるひとがいるとしたら、内容に触れずに答えるのは難しいし、各話で登場するともだちの特徴は突飛過ぎて説明がしにくい。

ごく個人的で身勝手な見解を述べるとすれば、暗い顔でニヤリと笑い合えるか、だろうか。文中にはよく「にひ」だとか「いひひ」だとか「にか」だとかいう笑い声が漏れる。どう考えても爽やかではない。が、人間いつでも爽やかで明るい訳ではないし、普段日の光に照らされている間は出てこない暗い部分が一致したほうが、仲良くなるには手っ取り早いのかもしれない、と読んでいて思う。

うまく行きそうにないナンパも馬の話で一転したり、あほらしいと思いながら宇宙ステーション「きぼう」をみたいと思い、あほらしいことをしたい時に連絡を取る相手と離れた場所できぼうを見たり、そしてそのあと交際したり。

多分、そういった現象って、言葉にしにくいし身の回りで見かけたりしない。でも、読んでいてわかるわかるとうなずく程度には私達もそれを経験している、はずなのだ。それを、著者はエッセイという形でこっそり文章にしてくれている。いや、「見えてしまう」から書いている、と言うべきか。「穏やかにかわいい百鬼夜行」は、夜にひっそりと、しかし見た者はニヤッと、楽しむべきものである。


出版社より

人生はドラマではないが、シーンは急に来る

『わたしを空腹にしないほうがいい』のくどうれいん、最新エッセイ集

「東北の小さな歌人。鋭いと思いきや、その先は丸く、言葉たちは強く光っている」(植本一子)


・失恋してラーメン屋に喪服でやってきたミオ

・「ビニニでもバナナ」と大発見したのんちゃんとゆーきちゃん

・暗号でしか告白できないスズキくん

など個性的な「ともだち」がぞくぞく登場!


「web侃づめ」の大人気連載に大幅増補の全39編。おだやかにかわいい百鬼夜行

2020年4月下旬全国書店にて発売。

試し読みはこちらから。



【著者プロフィール】

くどうれいん(工藤玲音)

1994年生まれ。岩手県盛岡市出身・在住。会社員。樹氷同人、コスモス短歌会所属。
著書に『わたしを空腹にしないほうがいい』(BOOKNERD、2018年)、共著に『ショートショートの宝箱Ⅰ・Ⅱ』(光文社)。
「POPEYE」(マガジンハウス)にて「銀河鉄道通勤OL」連載中。

『うたうおばけ』
くどうれいん

四六判、並製、192ページ
定価:本体1,400円+税
ISBN978-4-86385-398-0

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