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天使日記

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寺尾紗穂『天使日記』

音楽家・文筆家として活動する寺尾紗穂。『天使日記』は彼女自身の生活と活動、訪れた場所や出会った人を描写しつつ、それがそのまま歴史や社会問題と地続きにつながっているような文章が並ぶ。表現としての文章というより、生きていること自体をつぶさに見つめているような、そんな印象を受けた。

例えば、風呂場に出入りする数匹のなめくじをじっと愛で、たたずんでいる様子に、夏、なんの用もないのに百貨店で涼む人々を重ねる。湿気と暖かさを求めてのんびりやってくるなめくじに注がれる視線は愛そのものだ。

「みなと違うものを排除することが是と」される世情を憂うものの、かつてはなめくじに塩を撒いていたことにも思いを馳せ、自分も「再び過ちを犯す可能性」にまで思考を巡らせる。風呂場に出るなめくじの話から、度し難い人間という存在の本質にまで迫れるだろうか。ただの随筆ではない、はっとさせられる一冊である。

また、前著『彗星の孤独』も入荷しています。こちらはサイン本が残り一冊となっておりますのでお早めに！

以下、STAND!BOOKS @standbooks より。

自分の中の子供。目に見えぬもの。聞こえない声。長女が天使に出会った日から始まった、まぼろしのようでいて、確かな日々の記録。唯一無二の音楽家・文筆家による言葉の到達点。エッセイ49編。

※商品は書籍のみです。